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第3話
「ジュージュー」で、人間である喜びを味わおう
2005.01.20

人はジュージューのために生きている。

シズルという言葉がある。写真家や広告制作に携わる人間が頻繁に使う。
Sizzle。この言葉もオノマトピアだ。
もともと食べ物が「ジュージュー」いっている状態の「ジュージュー」を意味する。これを拡大解釈し、彼らは「すぐに行動したくなる」とか「臨場感」という意味で「シズル感あふれる」という。たとえばきれいな水しぶきの写真があると、触ってみたくなったり、その場へ行きたくなったりするものをさしたりする。
もちろん、料理写真や料理映像などはこの「シズル感」が大切であり、たとえばスープなどの湯気をいかに美味しそうに見せるかということを仕事としている「湯気師」という職業がある。
今回はその「ジュージュー」について。

料理には「静と動」がある。私は「動」が好きだ。静かなレストランでゆっくりというのもいいのだろうが、にぎやかな場所でにぎやかに食べる方が好きだ。料理もジュージューいっているものがいい。
鉄板に料理が乗ってきて、その場でソースをかけて食べる。テーブルに火が運ばれてきてその上で仕上げる。そんな料理と出会ったことが無いという人は少ないと思う。わざわざそこまでしなくても・・・鉄板はすぐにさめるじゃないか。仕上げて持ってきてもいいじゃないか。そんなことを言いだす人もいる。
しかし、テーブルで発生するジュージューはやはり「おいしさ」を生むように思う。中華料理の「おこげ」の「ジュー」もその場でやって欲しいし、鉄板焼きレストランでは目の前で「ジュージューショー」が繰り広げられる。その場で目と耳を楽しませることもまた料理だと思う。
最近、オープンキッチンのレストランがますます増えてきて、料理している姿を見ながら食事を楽しむ機会が増えた。ジュージューだらけだ。湯気や火、料理人の顔つき、ウエイターの機敏な動き・・・すべていいジュージューのためにあるようだ。
また、焼肉など「ジュージューの楽しい部分」を全部客に渡すというのもまたおいしさをつくる方法なのだろう。カウンターで食事をするのもまたジュージューのためかもしれない。
そう考えていくと「人はジュージューのために生きている」とも思えてくる。
たしかに一仕事終えてジュージューの現場へ行くと「今日も生きていてよかった」と思えるし、誰かとジュージューを共有すると仲良くなれる気がする。

なぜ人間はこんなにジュージューが好きなのだろう?そこで気付く。
「人間は」がポイント。
人間は火を操る動物だ。人間以外の動物は火を操ることはない。ジュージューにこだわる動物などいないのだ。「うちの犬はジュージューいった肉しか食べない」という話を聞いたことがない。猫にいたっては「猫舌」という言葉があるように熱いものは嫌いだと思われている。温泉好きな猿はいるけれど、そこに卵を持ってきてゆで卵や温泉卵を楽しむ猿は見たことがない。雄ライオンが「おれはミディアムレアだ」といって雌に命令していたら大変だ。
なるほどジュージューは人間が人間である喜びを味わう瞬間なのかもしれない。
今日あたり旧友とジュージューしながら再会してみてはどうだろう。
私は近所の犬に鉄板焼きでもすすめてみる。



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