HOMEコラム >佐々木和枝の子連れグルメの明日はどっちだ?





第1話
「命短し 飲むべし 乙女」
2005.02.17

始めまして。マダーム佐々木です。子持ちの40オンナです。ガキンチョ(♂3歳、♀2ヶ月)にまみれて暮らすDKOI(Double Kids One Income)です。オットの稼ぎで慎ましやかに暮らしとります。でも諦めません、負けません。DINKS時代に培った、美酒と美食をマムシのようにシツコク求める炎のような情熱は、今もめらめらと燃え盛ってます。こんなオンナの 現在・過去・未来に馳せる いろんな思いを書かせてもらいます。どうぞ 宜しくお付き合いの程。

さて、まずは お酒の話。わたくし、お酒は結構いける口。それでも 適量を超えると当然酔っ払うし、さらに度を越せば翌日に響く。ソルマック片手に昨晩の飲み過ぎを後悔した朝は過去に多々。こんな私も、子供を産んでからは すっかりおとなしい酒飲みになり下がってしまった。酔ってもほろ酔い程度。翌日に持ち越すなんてとんでもない。だって頭痛ガンガン、吐き気ムカムカの二日酔いの朝でも ガキンチョは 飯食わせ〜、遊んでくれろ〜とまとわりついてくる。これ はっきり言って拷問。その点、コナシ時代はお気楽であった。金曜の夜、ちょいとはめをはずしても、翌日は夕方まで布団被って寝てればよかったもんね。で、また夜になると 懲りもせず飲みにでかけたりして。「命短し、飲めべし 乙女」。41歳の子持ちオンナはしみじみと コナシ時代の爆飲みライフを懐かしむのであります。

そういう訳で、自分の酒の適量と相談しながら飲んでる昨今なんだけど、飲んでも飲んでも酔っ払わない人たちってのを目撃したことある。コペンハーゲンに向かうスカンディナビアエアラインの機内で乗り合わせたデンマーク人の団体。この人たちが 飲むこと飲むこと。十数時間のフライト中、ウオッカやリキュールのミニボトルをオーダーし続け 休む事なく しゃべり続ける。かと言って決して酔い乱れる様子もなく、せいぜい陽気さが一段と増して、若干声量が大きくなる程度。これが日本人だったら、へべれけになってステテコ姿になったり、フライトアテンダントのお姉さんのお尻触ちゃったりするタコ親爺の一人ぐらいは絶対出現するはず。でも、彼らデンマーク人は爆飲みしながらも、あくまでも紳士・淑女なのであった。それこそ着陸直前まで飲み続けた大酒豪のご一行なのだが、現地空港に着くと、やおらしゃっきりと背を伸ばし、まったくの素面のような つるりんとした顔をして去って行ったのであった。後に知ったのだが、北欧諸国は 世界でも国民一人あたりのアルコール消費量が 最も多い国々なんだそう。私が出くわした デンマーク人達の飲みっぷりを思い出しても さもありなんというところ。

その旅での私の最終目的地は同じ北欧のスウェーデンはストックホルム。仕事で現地の酒造メーカーを訪ねたその晩、先方のおもてなしを受けた。これがまた もんのすごく飲む。お酒はウオッカ。これをビールをチェイサーにしてぐびぐび。スウェーデン式の伝統的な酒飲みゲームというのもやらされた。まずホストが「乾杯」と言ってストレートのウォッカをぐっと飲み干す。グラスを空にしたら、席についている他のメンバーの視線を捕らえてじっと見つめる。そうすると今度は見つめられた人が ウォッカを飲み干す番。これを延々と続けるのである。いやいやこれは辛かった。単なる爆飲みならお任せあれだけどさ、酔っ払う事が許されないビジネスディナーだもん。顔ではにっこり、ウォッカをぐびり。心の中では「酔うな。酔うな。酔ってはいけない。ニッポン女子の誇りにかけて。」と悲壮な覚悟。今にもオンになりそうな「酔っ払いスイッチ」を力づくでオフにしていた感じ。酔わない事を誓いつつ 杯を重ねた 不思議な北欧の夜でありました。

さて、現在は常に「酔っ払いスイッチ・オフ」という苦行を課せられている、哀れな子持ちオンナの私だけど、まあそうそう悲観的でもないのである。人生のステージが変われば再び、翌日の事を気にせず だらりんだらりんと気持ち良く酔い、飲み続けることのできる夜も戻ってくる事でありましょう。ここで思い出すのは友人S氏のお母様。大変な美貌の持ち主でしかも超リッチなご家庭のマダムなのであるが、S氏が学生時代 自宅に連れてきた同級生相手に 日本酒をがんがん飲み、若者たちを酔いつぶしておいて、ご自身はけろりんとしていたそうな。うん、なんかいいな。そういうの。まあ リッチ&美貌のマダムへの道は閉ざされているような気もするが、せいぜい精進してスマートでかっちょいい飲みっぷりのおばさまを目指したいものである。

目下のところ私の時間とエネルギーは ムスコとムスメにじゃぶじゃぶと贅沢に消費されている。一日の育児バトルを終え、彼らの寝顔を肴に赤ワインをグラスに2杯というのが今の私の楽しみ。いつか彼らと一緒にグラスを傾ける事ができる日がやってきたら、どんな会話を交わしてどんなお酒を飲むんだろう。女の人生 いろんな局面があって いろんな飲み方がある。その変化を楽しんでみるのもそう悪くない。