第1話
『キャンティクラシコを飲みながら、Tボーンステーキを食べる。人数は3人以上・・・これがホントのトスカーナ風だ。』
見ていているうちに「あれが食べたい」と思わせる映画ってありますよね。今月からそんな料理や食事のシーンが出てくる楽しくおいしい映画を紹介します。
第1回は「トスカーナの休日」です。アメリカ国内だけで200万部以上を売ったベストセラー(フランシス・メイズ著)の映画化。主演はダイアン・レイン(昨年のゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされました)。原作では、作家のフランシスと夫で詩人のエドワードがイタリア・トスカーナに古い家を買って改修し、トスカーナの生活に溶け込んでいく様子が描かれています。が、映画はちょっと違います。
映画は、こんな内容です。『サンフランシスコに住む作家のフランシス(ダイアン・レイン)は夫から突然離婚を迫られ、家を失う。失意の彼女を見かねた友達から10日間のトスカーナ旅行をプレゼントされる。気乗りしないフランシスだったが、訪れた古い町コルソーナで見かけた古い家をとても気に入り、買ってしまう。しかし、この家、築300年を経ているうえ、長い間無人だったので、荒れ放題。彼女は親切な不動産業者に助けてもらいながら修復に取りかかるのだが・・・』
家という場を通じて、家族や恋を明るく描いたハートウォーミングドラマ。いくつかの恋を経験した大人の女性、特にイタリア好きにはオススメです。
この映画のみどころが、トスカーナの美しい風景と登場する料理。トスカーナ州は、イタリア半島中部の西側に位置し、なだらかな丘陵に糸杉が点在し、葡萄畑やオリーブ畑が広がっています。その美しい風景は「眺めのいい部屋」や「ライフ・イズ・ビューティフル」など数々の映画を生んできました。舞台となったコルトーナは城壁に囲まれた古い街、どこを見ても絵になります。
そして、重要なアイテムが料理です。映画の中盤、親切な不動産屋に話をしているうちに不意に孤独感に襲われたフランシスは、「料理を作ってあげる家族が欲しい、この家で結婚式を挙げたい」と泣き出します。彼女はいかにもアメリカ的な“できる女性”なのですが、料理は苦手だったのです。クリスマスには料理が上手になるようにと、聖ロレンツォの像をプレゼントされたりもしますが、スローライフが当たり前のイタリアがアメリカ的ライフスタイルを皮肉っているようです。
大勢の人で食事をするシーンもたくさんでてきます。大皿に盛った肉、パスタ、野菜、ワイン・・・(それがなんという料理かわかりませんが、わかった人は教えてください)、物語が進むにつれどんどんおなかが空いてくるはずです。
映画の後は、お気に入りのイタリアンレストランに直行してください。
最後に、eatpia.com の案内人 東條 太郎さんより、トスカーナ料理について。
『 一口にトスカーナ料理と言っても、トスカーナ州それぞれの地域・地域の郷土料理があります。特徴は、その土地で採れるもの(=大地の恵み)を活かしていること。内陸部であれば、当然海の幸にはあまりお目にかかりません。
日本のレストランで楽しむことの出来るトスカーナ料理といえば、レバーやそら豆などのペーストをのせたクロスティーニ(焼いたパン)と各種サラミを盛り合わせたアンティパスト(前菜)、豆系(トスカーナの人は、豆をよく食べます)のスープ、パンツァネラ(パンが入ったサラダ)、トリッパ(牛の胃袋の煮込み、トスカーナ地方では最初は野菜は入れずに塩だけで煮込みます)、そしてジビエの時期であれば、猪、うさぎなどを使ったメニューが代表選手。
ここで、「あれ、フィレンツェ風Tボーンステーキは?」と思われた方は、結構イタリア料理を召し上がっていますね。フィレンツェ風Tボーンステーキ、正式にはビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ、分厚く切った骨付き牛肉を直火で焼いたシンプルな料理で、トスカーナを代表する名物料理です。このメニュー、もちろん日本のレストランでも楽しむことが出来ます。ただし、トスカーナでは地元産の白牛 キアーナ牛で作るものが最高だと言われていますが、残念ながら、日本はもちろんイタリアでも、このキアーナ牛にお目にかかれる機会はかなり少ないです。イタリアでも、レストランによってはイギリスから輸入した肉を使っているそうですから。ちなみに、イタリアには「MOGLI E BUOI DEI PAESI TUOI」(女房と牛はおまえのいなかで)という諺があります。ここで、「女房」と共に「牛」が登場するのも、イタリア人の「地元牛」信奉の表れではないでしょうか。
トスカーナ料理をうたったイタリアンレストランは少なくありませんが、通常日本人に食べやすくアレンジ(決して悪い意味ではなく)されていることが多いです。それでは、「本物のトスカーナの郷土料理」を日本で楽しむことは出来るのでしょうか?
eatpiaでもご紹介しているRusticanellaの小板谷シェフにお伺いしたところ、「本当の郷土料理は、特に肉料理などでの塩の使い方が全く違います。実際に入れる量はともかく、イメージで言うと“塩辛さ2倍”という感じです。僕も、オリジナルをベースにその日の食材や気候に合わせて、お客様に楽しんで頂けるようにアレンジしています。たまに、“イタリアの○○で食べたアレが忘れられない。”とおっしゃるお客様のお話を伺ってそのメニューを再現?することもありますし、リクエスト頂ければ、郷土料理もお出ししますよ。」とのこと。「イタリアで修行」を謳ったシェフがいるレストランに何度か通ったら、「シェフが修行した地方の郷土料理を再現してください。」とお願いしてみるのも楽しいかもしれません。その日の素材で、“マンマの味”を再現してくれるハズです。その日の素材でというのが、まさに郷土料理の原点ですから。但し、胃腸の調子が極めてよい日にお願いすることをお薦めします。』
|