HOMEコラム >植木将仁のシェフの食卓




第13話
新しい店をオープンします!!

2007.7.5

皆様、またまた大変ご無沙汰しています。料理人植木です。

前回のコラムからまた半年以上。実はようやく新しい店のオープンが決定しました!!
今回は、新しい店オープンに関連して色々と書きます。少々長く、そしていつも以上に熱いかもしれませんが、是非最後まで読んでください。

「Restaurant J」を移転の為クローズしてから約一年半。今の気持ちを一言で表すと、「ようやくここまでたどり着いた。ここまで、本当に長かった。」

色々な人から沢山励まして頂いた一方で、厳しい意見や批判も頂いた。自分と一緒に仕事をする仲間との新たな出会いと同時に、自分のもとを離れていく人間との別れもあった。正直いい思いばかりではないのだが、今となっては、全てが自分の人生の調味料として人生を味わい深いものにし、そして自分自身を成長させる肥しになっているなあと感じている。

さて、新しい店は東京ではなく、ちょっと意外な場所にオープンする。「その場所がどこか」の前に、場所を決めるに至った経緯について。

移転については、以前の表参道「Restaurant J」を営業中からの課題であり、最初に考え始めてから、かれこれ2年。その間に表参道ヒルズが登場し青山・表参道界隈の人の流れが変わった。そして今年は六本木ミッドタウン、新丸ビルとさらに大きなオープンがあるなど、東京の街並みやレストランシーンは、日々大きく変貌している。

このムーブメントそのものは本当に凄く、僕自身、格好良く言えばその大きなうねりにのりかけたこともあった。いや、もう少し正直に言うと、大きなうねりに飲み込まれそうになった というのが正しいかもしれないが。

いずれにしろ、このムーブメントに直接は関係しなかったのは、いつも僕の頭のどこかに「何か、違うのではないか。」、「数字の追いかけっこの売買ゲームのような大企業の駒になることは、本来、料理人が見つめるべき所から外れていないか。」という煮え切らない思いと疑問があったから。

「何を今更、キレイ事を言ってるんだ。」「レストランはビジネスだぞ。甘いな。」といった批判や反対意見はもちろん覚悟の上。しかし、ここ何年かの間に人間不信に陥るようなくやしい、つらい思いを経験したことで、自分が本当にやりたいこと、もっと言えば自分が本来やるべきことを通じて、ビジネスとしてレストランを成功させたいとの思いが自分の中で固まっていった。

それと同時に、損得なしで協力してくれる人間、何があってもついてきてくれるスタッフ、そして家族を含めた本当のきずながあってこそ、それは可能になるということにも改めて気が付いた。

ちょっと脱線してしまったけど、こんな思いを胸に、「東京の中での同じパイの食い合いから卒業出来ないか。」、「でも、やはり東京は魅力的でもある。ここでやるべきなのか。」と、悩む日々が続いた。その間に様々な物件をそれこそ数え切れないほどたくさん見て廻ったものの、今1つしっくりとくるものには巡り合えないまま、時間ばかりが過ぎていった。

そして、今年(2007年)の2月、今回オープンを決めた物件に出会った。場所は軽井沢。
そう、今回の僕の店は軽井沢にオープンする。

と言っても、最初から凄くスムーズだったり、何かドラマティックな出会いだったわけではない。寧ろその逆で、最初は、自分1人ではちょっと大箱だし、また既に先行している相手が複数あるとのことで、「まあ無理だろう。」と思っていた。ちなみに、先方の担当の方の表現を借りると、「野球で例えると、3点ビハインドの9回裏2アウト満塁というくらい、ギリギリの状態です。」とのことだった。

しかし、「この環境でなら、Jをクローズした後固まってきた自分の思いが実現出来るかもしれない。」との気持ちが強くなり、何度も軽井沢に足を運び自分の思い、意気込みを伝えた。そしてその結果、最終的に6社によるコンペを経て、3ヵ月後の5月についに本決まりとなったのだ。

先程、大箱なので自分1人ではちょっと と書いたが、ミシェラ ドーロ(=日本に初上陸したシチリアのエスプレッソの会社)という、素晴らしいパートナーとタッグを組むことが出来た。

大きな一軒屋の中にミシェラ ドーロのトラットリアとカフェ、そして僕の新しい店が入り、僕はトラットリアとカフェのプロデュース&自分の店でシェフとして腕を振るう。

僕の新しい店の名前は「MASAA’S」(マサズ)。僕の名前をご存知の方はピンときたかもしれないが、将仁(まさひと)の最初の「将」の字からとった名前だ。「Restaurant J」という名前には凄く思い入れがあり、また自分の名前をレストラン名にするのは正直ちょっと照れる思いもあったのだが、新しい出発にしたいという気持ちと、今迄以上に責任を持ってやるぞという意気込みで思い切ってみた。

さて、諸々の絡みでオープンは7月と決まった。5月に決定で、7月オープン。大きな箱でこの準備期間は、正直かなりタイト。決定以来、食材と人材(=スタッフ)探しの日々がスタートした。

食材を探す際のテーマは、「地産地消」と「人の縁」。せっかく軽井沢でやるのだから、近郊で採れるもの中心でいこう、そして今迄、僕の状況が良くない時も含めて付き合ってくれた業者の方々に多少なりとも恩返しをしようとの思いからだ。

これを念頭に一軒一軒廻ったのだが、素材の奥深さを改めて知ると共に料理への意欲が沸々と掻き立てられる有意義な日々だった。

例えば榛名鳥一筋に育てているミヤマさん、以前のコラムでも書いた長野飯田千代幻豚の岡本さん、野菜で言えば地元の生産者を取り仕切っているマルヨの山本さん・・・・刺激を受けた方全てを挙げることはとても出来ない。

魚介類については、軽井沢は山あいの為、僕の出身地である金沢の漁師の川島さんルートをメインに、一部は築地の丸昌の小川さんから仕入れる予定。この小川さんは、僕が本当に見習いの頃からお世話になっているかつ応援してもらっている大切な人だ。

スタッフについては、これはもう正に「人の縁」。

「Restaurant J」の時代から一緒に苦労した仲間、それ以降に縁が合って、僕の考えに賛同してくれた人間、名前を挙げると、マネージャーの藤森、キッチンの生井、箱島両料理長、レセプションの松田、そしてサービス教育担当にはグローバルダイニング時代からつきあいがあり、僕の全てを理解してくれている保村良豪と彼のスタッフ達・・・・
手前味噌になるが、「精鋭」揃いだ。

みんな、僕の良い面だけでなく、悪い面も含めて分かってくれている大事な人間ばかり。こんな仲間と魅力的な食材に囲まれて、新しい土地、軽井沢で思いっきり料理が出来る!本当に心からうれしい!!

オープンはミシェラ ドーロのトラットリアとカフェが7月14日(土)。
そして「MASAA‘S」が7月25日(水)。

オープンの際には、是非、軽井沢に足をお運びください。心より、お待ちしております。

そして最後になりましたが、1年半もの長い間「次はどこ?」「いつオープン?」と私を励まし続けてくれた皆様、本当にありがとうございます。どんなに感謝しても、しきれません。



| HOME | eatpia.comについて | プライバシー | Copyright | お問い合せ | サイトマップ | メールアドレス登録 |

Copyright 2004-2007 eatpia.com All Rights Reserved.