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第2話
お金がかかりそうな女
2005.01.20


「山田は、お金かかりそうだよな」。そう言われたことがある。
それも、1度や2度でなく、何度かだ。「お金がかかりそう=わがままでぜいたく」。そんな印象がある。納得できない!!高級ブランドバッグは持っていない。宝石やアクセサリーにも興味がない。彼氏にプレゼントをおねだりしたことなどもない。着ている洋服は、ごくごく安いカジュアルウェアというわけでもないが、決して高級ブランドではない。むしろ、自分なりに少し上質なジャケットを着た日など、安心して安いインナーを着てしまったりする。それなのに…である。

何人かの友人に、思い切って尋ねてみた。「なぜ、お金がかかりそうに見えるんだろう?」。親しい男友達ほど「そうかなあ?そんな気はしないけど」との答えが返ってきた。

なーんだ、知らない人が言ってるだけか。と思いたかったが、そうとも言いきれない事件がおきた。昨年の私の誕生日。仲間がお祝いをしてくれた。その日は平日だったが、前日から当日まで、そのうちの一人からひっきりなしに電話がかかった。「何が食べたい?」「プレゼントは何がいい?」「行きたいお店はない?」。

お祝いをしてもらえるだけで有難いから、プレゼントはいらないし、食べ物など何でもいいと思った。ところが、友人は異常なまでに気を遣っていた。「何でもいい」と言っても許してもらえない。いい加減、そんなことで気を煩わすのも申し訳なくなり、欲しい物と行きたいレストランを伝えた。自分が決めた店で、自分が指定したプレゼントをいただいた。「よかった!満足してもらえて」と、友人は言った。友人たちが集まってくれたのは心底うれしかったが、とても複雑な気分になった。

「そんなに贅沢で、わがままなことを言ってきただろうか?」。しばらくしてから勇気を出して、その友人に聞いてみた。すると、友人はしばらく考えて答えた。「具体的に何かあったわけじゃないんだけど、お店とか商品のこととかよく知っているし、なんか、こだわりがあるような気がして…」。彼女に言われると否定はできない。彼女の家は、東証一部上場企業の創業家。お父様は社長で、彼女も超お嬢様学校の出身だが、ジーンズにTシャツが似合い、財布ひとつブランドものはない。私の友人のなかで最も質素かもしれない。一方の私は、中学・高校と私服の女子校に通っていたから、当時から女性誌を読みあさるのが習慣。昔から男性誌も好き。仕事柄、町を歩く機会が多く、ファッションやら雑貨やらを見て歩くのが好きだ。自分で持ってこそいないが、知識は豊富かもしれない。「ブランド女」とだって、話をあわせることができる。

それが理由??それだけではないだろう。もう一度、彼女の言葉を振り返る。「こだわり」――。

身に覚えがあった。彼女と知り合った20歳代前半、「世の中総グルメ」になる前の時代。私は初めての関西生活で、毎日あちこちを食べ歩いていた。関東と色を比較される「薄口」のだしは実は塩味が強いということも初めて知った。白身魚が売りの寿司屋も、安くておいしい中華や韓国料理も魅力的だった。食べることが好きだった父の遺伝子を受け継いだ私は、とにかく毎日、食べ歩いた。

その父が、幼いころからよく言っていた。「旅に出たら、その土地で最高のホテルに泊まれ。ただし、木賃宿にも泊まれ」。私はそれを忠実に(?)実行に移した。ガード下や下町の屋台から、最高級レストランまで。あの時代(と言っても、たった10年前だが)と年齢にしては、行き過ぎだったかもしれない。

ブランドやお金にこそ欲はないが、確かに、ピンもキリも追いかけたいという欲は、人一倍、強かったかもしれない。それがよくも悪くも「こだわり」となり、「贅沢」と映ったかもしれない。が、やはり、腑に落ちない。そして時々「お金がかかりそうな女の条件って何?」などと後輩を問い詰め、困らせている。



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